vol.7「長期円安」②

2024年8月5日、日経平均が大暴落しました。4,400円の値下がりは1987年のブラックマンデー以来の下落となりましたが、翌日には約3,300円の値上がりという乱高下に、投資家たちは今後の動向に注目しています。円安時に安い日本円を借りて日本株に投資した海外投資家は、円高に転じると利益確定のために日本株を売却しようとします。

島国日本で生まれ育った私たち日本人は、すべてを日本円で考えがちですが、海外の投資家はドルで投資を行います。

例えば、首都圏の新築マンションの平均価格(円)の推移をドル円レートで換算してみると、2012年には4,563万円だったのが2022年には6,907万円に上昇しています。この10年間で価格は1.5倍になっているのです。日本人にとっては賃金が上がらない中での価格上昇であり、非常に購入しづらい状況です。しかし、これをドル換算で見ると、2012年のドル円レートが1ドル=約79円だったため、当時の平均価格は約57万1,876ドルでした。一方、2022年には円安が進行し、1ドル=約135円となったため、平均価格は約50万9,291ドルとなります。つまりドルベースでは10年間でおよそ11%値下がっていることになります。

このように、日本人にとっては東京のマンション価格は1.5倍に上がっている一方で、ドル換算で考えるとむしろ11%も下がっており、海外の投資家にとっては非常に魅力的な投資対象となっているのです。

私たち日本人も、日本円だけでなくドルで物事を考える視点を持つことで、日本の資産や投資機会をより正確に理解し、より有利な判断ができるようになるでしょう。

地主の参謀ニュースレター「回帰」2024年10月号掲載