vol.12『敵は欲と妬みと嫉妬』

投資とは、身の丈に合った堅実な計画のもと、時間をかけてコツコツと積み上げていくものです。私はこれまで、多くの失敗例を目の当たりにしてきました。20年、30年とかけて築いた資産が、一時の判断ミスをきっかけに、一気に崩れていく姿です。

人はどうしても「もっと増やしたい」と思ってしまいます。欲には限りがありません。しかし、資産は大きく分けてリスク資産と安全資産に分けられます。若い時期であれば、リスク資産を選択して資産拡大を目指すのも一つですが、人生の後半は増やすことよりも「守ること」を優先すべきです。

例えばS&P500は非常に優秀なインデックス投資ですが、過去には50%を超える下落も経験しています。晩年にこうした暴落に直面すると、資産面だけでなく精神的なダメージは計り知れません。そのため、資産の半分は、債券や安定ファンド、ゴールドといった安全資産に分散することが重要です。

現金についても注意が必要です。生活防衛資金として一定額は必要ですが、多額の現金をそのまま置いておくのは得策では投ありません。インフレという怪物に、現金の価値は静かに目減りしてしまう可能性があるからです。特に定年後に資産を50%失うと、心は大きく疲弊します。50%の損失を回復するには、100%のリターンが必要であり、容易な道ではありません。失ったお金を取り戻そうとして、さらに危険な投資商品に手を出してしまうケースも少なくありません。だからこそ、晩年は「増やす」よりも「守る」に注力すべきなのです。

ポートフォリオを見直すタイミングは、ゴールの5年ほど前が一つの目安でしょう。周囲の話に振り回される必要はありません。例えば、あなたが10年かけて堅実に資産を2倍に増やしたとしましょう。あるパーティーで、誰かが「暗号資産で1年で3倍になった」と自慢していたとしても、その話に心を揺らしてはいけません。あなたは、あなたの身の丈に合った資産形成を続ければ良いのです。

私たちの最大の敵は、「欲」と「妬み」と「嫉妬」です。隣の芝生が青く見えても、身の丈に合った道を歩み続けることこそが、最も確かな資産形成なのです。

地主の参謀ニュースレター「回帰」2026年1月号掲載